第87回地震調査委員会提出資料(平成13年5月2日提出)


日向灘(豊後水道)の地震について

 日向灘北部(豊後水道南端)において,2001年4月25日23時40分にM6.0(Mjma5.6)の地震が発生した.九州大学による震源の深さは約30kmであり,スラブの沈み込みにともなう地震の等深線に一致する.P波初動による発震機構解は横ずれ成分が卓越し,低角逆断層型にはならない(図1).T軸は東西方向でやや西下がりであり, DownDip Extension 型とみなすこともできるが,P軸は北北東−南南西で等深線にほぼ平行であることから,九州弧における深さ40〜90kmのスラブ内地震の特徴と調和的である(図2).

 図3に,九州大学で決めた本震の震源(○印)と気象庁で決められた震源(△)のそれぞれの位置を示す.震央はほぼ同じであるが,深さ方向に10km以上違いがあることが分かる.この差は何が原因であるかを調べるために,気象庁の検測情報をそのまま用い九州大学で使っている震源決定法で計算してみたところ,九州大学で求めた震源位置とほぼ一致した(☆印).つまり,深さ方向の差は検測値の違いによるものではなく,両機関で用いられている震源決定の方法や使用している地震波速度構造の違いによって生じたことが分かった.

図1. 震源分布図と発震機構

震源分布図と発震機構
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図2. やや深発地震の発震機構から推定される圧力軸と張力軸の方向

やや深発地震の発震機構から推定される圧力軸と張力軸の方向
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図3. 九州大学と気象庁で決定された本震の震源位置の比較

本震の震源位置の比較

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植平賢司(Uehira Kenji)
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