雲仙普賢岳の噴火に伴う普賢岳山体や溶岩ドームおよびその周辺の地殻変動を傾斜計, ＧＰＳ, 水準測量で観測し，マグマの噴出および冷却過程を研究している．2000年5月からは，北大茂木助教授，地惑中田教授と共に地電流の観測を開始した．GPS測量
雲仙岳水準測量：2001年 3月12日〜18日
２）火山噴火予知の基礎研究
全国各地の火山地域でＧＰＳや水準測量による地殻変動の観測, 重力の測定を実施し, 火山噴火予知のための基礎的調査研究を実施している．特に2000年3月31日に噴火した北海道有珠山では, 噴火前から現地入りして観測を開始し, マグマの上昇に伴う地殻変動の研究を実施した．これらの観測研究結果は, 逐次火山噴火予知連絡会にも報告され, 火山活動を予測する重要な判断材料となっている。３）南極人工地震観測用ペネトレ−タ型地震計の開発有珠山における火山観測：2000年3月29日〜 4月7日，4月12日〜18日，4月28日〜5月7日，7月13日〜17日，8月30日〜31日，2001年1月26日
三宅島における火山観測：2000年6月26日〜7月3日，7月9日〜7月12日，8月2日〜8日，9月15日〜17日，2001年1月6日〜14日
伊豆半島東部におけるGPS稠密観測：2000年 6月11日〜 6月18日
南極氷床上のクレバス帯等の地上からは到達困難な地域にヘリコプターから上空投下し，人工地震を観測したのち，ヘリコプタ上から無線でからデータを回収するシステム（南極ペネトレータ型地震計）の開発を行っている．第43次南極観測隊（夏隊）により2002年1月に実施される「東南極リソスフェアの構造と進化研究計画（SEAL計画）」における人工地震探査での使用に向けて開発は最終段階を迎え，投下実験も実施されている．４）アムールプレートの測地学的調査研究利根川河川敷における投下実験：2000年7月3日〜5日，10月4日〜6日，12月13日〜15日
中華人民共和国河北省天津市および遼寧省長春市において, 国家地震局第一地殻變動観測中心（天津市）と共同でGPSによる地殻変動観測を実施し, 中国中北部からロシアにかけて広がるアムールプレートの動きを調査研究している．アムールプレートの西端は九州を含む西日本一帯に達しており, 中部日本で他のプレートと衝突している．1995年1月の兵庫県南部地震（阪神淡路大震災）もこのアムールプレートの東進に伴う, 地殻応力増加によって発生したと考えられている．このプレートの動きを把握することは, 西日本大地震の発生のメカニズムの解明に重要な情報を提供すると期待される．５）内陸で発生する地震の観測研究中華人民共和国におけるＧＰＳ観測点のメンテナンス作業：2000年10月30日〜11月 7日
微小地震観測網の整備を進めるとともに, この観測網による地震データを用いて, 内陸で発生する地震の特徴等の研究を行っている。熊本県益城町周辺臨時観測点の増設：2000年 6月 8日〜
また, 全国の大学と共同で北海道日高地域の50点に臨時地震観測点を設置し, 北海道地方に発生する地震を観測するとともに, その地下構造を研究している．九州大学は鹿児島大学と共同で, 芽室町栄と幕別町豊岡の2地点に地震観測点を設置し, 衛星テレメータを用いて全国の大学向けに観測データを発信している．
また, 1999年10月31日から熊本県中部の日奈久断層系と布田川断層系交点付近で群発地震が発生した．そこで, 震源域周辺に400MHz無線テレメータを使った観測点を1点, 現地収録の観測点を3点設置し計4点で余震観測を開始した．この観測はこの観測は2000年6月のM4.9の地震の発生に伴い，さらに衛星通信テレメータ1点，現地収録点6点増強して，現在も観測中である．
また，日奈久断層を横断するGPS観測線（11観測点）を新設し，繰り返し測定を開始した．
６）人工地震を用いた地下構造探査
火薬爆破で発生させた人工地震を300台以上の地震計で観測し, その到達時間や振幅から地下の構造を探査する．2000年度は北海道日高山脈の西部（北海道大滝村から平取町までの全長約100km）の測線で4発の人工地震と300台の地震計で探査を実施した．７）中央構造線断層帯の深部構造と現在の運動様式に関する測地学的研究北海道日高衝突帯前縁部における高密度地殻構造探査：2000年8月27〜30日
高知大学の田部井助教授を代表とする研究チームを結成し, 西日本を東西に横断する日本最大の活断層群である中央構造線の測地学的研究を行っている．現在の地震活動は低調あるが, , 地質学的・地形学的調査から推定された過去の活動履歴（右横ずれ数メートル/千年）から判断し, 将来再び地震活動が活発化することはほぼ間違いがない．この断層群を南北に横切る測線（約100km）に30台のGPS受信機を設置して, 毎年の地殻変動を観測している．トップに戻る中央構造線GPS観測：2000年 9月28日〜10月10日
吉崎正憲・瀬古 弘・加藤照之・小司禎教・永戸久喜・別所康光郎・郷田治稔・X-BAIU-99観測グループ，1999年東シナ海・九州梅雨特別観測（X-BAIU-99）報告，天気，47，51-58，2000．
Yoshizaki, M, T. Kato, Y. Tanaka, H. Takayama, Y. Shoji, H. Seko, K. Arao, K. Manabe, Member of X-BAIU-98 Observation, Analytical and Numerical Study of the 26 June 1998 Orographic Rainband Observed in Western Kyushu, Japan, Jour. Meteorol. Soc. Japan, 78, 835-856, 2000.
植平賢司・松島 健・清水 洋・安達繁樹・齊藤幸賢，衛星電話を利用した地震観測システムの開発−無人島における定常地震観測の実現−，地震2，53，181-184，2000．
九州大学地震火山観測研究センター, 2000, 九州の地震活動(2000年5月〜2000年10月)，地震予知連絡会会報，65，649-660.
九州大学島原地震火山観測所, 2001, 雲仙岳火山活動状況(1999年9月〜2000年1月),火山噴火予知連絡会会報,
76, 92-96.
三輪 篤・野原 肇・平原 和朗・仮屋 新一・廣瀬 仁・木股 文昭・岩崎 博之・板垣 昭彦・土屋 淳・松島 健，三宅島において山岳波から生じるローカルな大気水蒸気分布，地球惑星科学関連学会合同大会， Db-012
呉 新華・田中 穣・松島 健・荒生 公雄・大石 哲・小司 禎教・島田 誠一，火山地域におけるＧＰＳ観測による天頂湿潤遅延と水平測位歪みの関係，地球惑星科学関連学会合同大会，Db-017
植平 賢司・松島 健・松尾 のり道・栗山 都・清水 洋，九州中部の地震活動，地球惑星科学関連学会合同大会，Sk-016
渡辺 秀文・伊豆大島火山構造探査グループ，人工地震による1999年伊豆大島火山の構造探査：探査実験の概要 ，地球惑星科学関連学会合同大会，Vb-015
及川 純，渡辺 秀文，田中 聡，松下 誠司，藤原 健治，熊谷 博之，戸松 稔貴，松島 健，栗山 都，伊豆大島火山構造探査グループ，人工地震による1999年伊豆大島火山の構造探査：基礎解析，地球惑星科学関連学会合同大会，Vb-P015
松島 健・清水 洋・植平 賢司・松尾 のり道，雲仙火山の再膨張について，地球惑星科学関連学会合同大会，Vb-P009
爆破地震動研究グループ，1999年北海道横断地殻構造探査（大滝-浦幌測線），地球惑星科学関連学会合同大会，Se-003
Tashiro, K ,S. Suzuki, T. Matsushima, H. Miyamachi, T. Iwasaki, T. Yoshii, T. Takeda, C. Piao, S. Sakai, T. Iidaka, A. Kubo, T. Moriya, and M. Ando, 2000, Upper Crustal Structure in the Eastern Part of Kyushu, Japan, Inferred From Seismic Refraction Experiments, 2000 Western Pacific Geophysics Meeting, S42A-26.
Moriya, T, K. Ohtsuka, T. Taira, T. Iwasaki, T. Takeda, T. Yamada, K. Ohtake, K. Gouke, T. Matsushima, H. Miyamachi, Seismic Refraction/Wide-Angle Reflection Profiling Across Arc-Arc Collision Zone, Central Hokkaido, Japan, 2000 Western Pacific Geophysics Meeting, S42A-04.
Shimizu, H., T.Matsushima, K.Yamashina, K.Nishi, and H.Yakiwara, Location of the Volcanic Conduit Inferred From Geophysical Investigations at Unzen Volcano, 2000 Western Pacific Geophysics Meeting, V32A-04.
三宅島火山総合観測班（GPS観測グループ），GPS稠密観測網による繰り返し測量でとらえた三宅火山2000年マグマ貫入事件前後の地殻変動，日本火山学会秋季大会，A07
及川 純・渡辺秀文・松下誠司・松島 健・栗山 都・戸松稔貴・熊谷博之・藤原健治・田中 聡・伊豆大島火山構造探査グループ，人工地震による1999年伊豆大島火山の構造探査：基礎解析その2，日本火山学会秋季大会，P09
栗山 都・清水 洋・松島 健，後続波も用いた雲仙火山速度構造の再決定，日本火山学会秋季大会，P18
川辺禎久・松島 健・林 信太郎・金子隆之・中田節也，三宅島2000年噴火の表面現象-開口割れ目群と14-15日噴火-，日本火山学会秋季大会，P35
林 信太郎・松島 健・木股文昭，2000年6月27日に三宅島西方沖に出現した変色水の観察，日本火山学会秋季大会，P37
高橋浩晃・森 済・笠原 稔・岡崎紀俊・石丸 聡・中尾 茂・加藤照之・三浦 哲・松島 健・渡邉篤志・木股文昭，GPS観測による2000年有珠山噴火前後の地殻変動-2周波受信機による観測-，日本火山学会秋季大会，A41
西村裕一・宝田晋治・斎藤英二・宇都浩三・風早康平・松島 健・高木朗充，有珠山2000年噴火に伴う西山麓の地殻変動，日本火山学会秋季大会，A45
松島 健・清水 洋・渡辺篤志・山科健一郎・西村裕一，2000年有珠火山噴火で観測された傾斜変動について，日本火山学会秋季大会，P51
戸田 茂・宮町宏樹・筒井智樹・松島 健・金尾政紀・福崎順洋・福田洋一，JARE41人工地震実験でおこなったGPS及び重力測定，第20回南極シンポジウム
澁谷和雄・金尾政紀・神沼克伊・小山順二・松島 健・筒井智樹，南極ペネトレーターの開発について（総合試験），第20回南極シンポジウム
田中 穣・呉新華・古田亮三・花田博之・王利吉章・野本智佐子・江頭庸夫・松島 健・荒生公雄・島田誠一・小司禎教，九州南部におけるＧＰＳ／ＭＥＴ1999 観測，日本測地学会秋季大会
高橋浩晃・森 済・笠原 稔・岡崎紀俊・石丸 聡・中尾 茂・加藤照之・三浦 哲・松島 健・渡邉篤志・木股文昭，ＧＰＳ観測による2000年有珠山噴火前後の地殻変動，日本測地学会秋季大会, 28
ＧＰＳ大学連合・酒井慎一 ，伊豆諸島近海の地震活動におけるＧＰＳ観測と解析結果，日本測地学会秋季大会, 40
仮屋新一・木股文昭・渡辺秀文・及川 純・松島 健，ＧＰＳより推定された三宅島火山の地殻変動 ，日本測地学会秋季大会, 43
栗山 都・清水 洋・松島 健・松本 聡，雲仙火山における反射面の検出，日本地震学会秋季大会，A36．
松本 聡・植平賢司・松島 健・松尾のり道・清水 洋，熊本県中部・日奈久断層周辺に見られる地殻内地震波反射面，日本地震学会秋季大会，A37．
植平賢司・松尾のり道・松島 健・松本 聡・内田和也・福井理作・栗山 都・清水 洋，熊本県中部・日奈久断層北端付近の地震活動，日本地震学会秋季大会，C73．
九州大学地震火山観測研究センター, 九州の地震活動，第137回地震予知連絡会（2000年5月15日）．
九州大学地震火山観測研究センター, 九州の地震活動，第138回地震予知連絡会（2000年8月21日）．
九州大学地震火山観測研究センター, 熊本県中部の地震活動について，第139回地震予知連絡会（2000年10月10日）．
九州大学地震火山観測研究センター, 九州の地震活動，第140回地震予知連絡会（2000年11月24日）．
九州大学地震火山観測研究センター, 九州の地震活動，第141回地震予知連絡会（2001年2月19日）．
九州大学地震火山観測研究センター, 雲仙岳火山活動状況，第85回火山噴火予知連絡会（2000年5月22日）．
北海道大学・東北大学・東京大学・京都大学・九州大学・鹿児島大学・気象庁，有珠山の地震活動，第85回火山噴火予知連絡会（2000年5月22日）．
北海道大学・地質研究所・名古屋大学・九州大学・東北大学・東京大学・気象研究所，有珠山GPS観測結果，第85回火山噴火予知連絡会（2000年5月22日）．
九州大学・東京大学・北海道大学，有珠山周辺の傾斜変動，第85回火山噴火予知連絡会（2000年5月22日）．
東京大学・九州大学・名古屋大学，三宅島島内におけるGPS稠密観測網でとらえられた地殻変動，第86回火山噴火予知連絡会（2000年7月10日）．
九州大学・東京大学・北海道大学，有珠山周辺の傾斜変動，第86回火山噴火予知連絡会（2000年7月10日）．
九州大学地震火山観測研究センター, 雲仙岳火山活動状況，第87回火山噴火予知連絡会（2000年11月1日）．
名古屋大学・東京大学・九州大学，GPS観測による三宅島の地殻変動観測，第87回火山噴火予知連絡会（2000年11月1日）．
九州大学地震火山観測研究センター, 雲仙岳火山活動状況，第88回火山噴火予知連絡会（2001年2月5日）．
東京大学・九州大学・名古屋大学，GPSでみた三宅島地殻変動，第88回火山噴火予知連絡会（2001年2月5日）．
九州大学・東京大学・北海道大学，有珠山周辺の傾斜変動，第88回火山噴火予知連絡会（2001年2月5日）．
九州大学地震火山観測研究センター,熊本県中部の地震活動について， 第77回地震調査委員会（平成12年10月4日）
文部省科学研究費・基盤研究（A）（2），（平成10〜12年度），分担，九州西方における非島弧的マントルアップウエリング構造の検証（代表：鈴木貞臣）全20名
国立極地研究所共同研究（平成12〜14年度），分担，人工地震探査によるリュツォ・ホルム岩体の地殻構造の研究（代表者：伊藤 潔）全8名
文部省科学研究費・特別研究促進費-2（平成12年度），分担，三宅島・神津島・新島近海群発地震活動に関する調査研究（代表者：金澤 敏彦）全20名
平成12年度日本学術振興会共同研究，韓半島と九州島との間の縁海下のマントルダイアピル（代表 鈴木貞臣）
東京大学地震研究所 特定共同研究(A)，分担，島弧地殻の変形過程に関する総合集中観測（代表 吉井敏尅）
東京大学地震研究所 特定共同研究(B)，分担，地震波形データの準リアルタイム解析システムの研究（代表 堀内茂木）全34名
東京大学地震研究所 特定共同研究(B)，分担，九州・琉球背弧の深部構造とテクトニクスの研究（代表 鈴木貞臣）全29名
東京大学地震研究所地震予知研究協議会計画推進部会委員（2000年4月〜2001年3月）