定 期 火 山 情 報

第4号

平成12年4月10日10時00分
 雲仙岳測候所発表

火山名:雲仙岳

 概況

3月の雲仙岳の火山活動は、落ち着いた状態が続き平成新山の形状は前月と比べほとんど変化は見られませんでした。
4月に入ってからも、火山活動は落ち着いた状態が続いています。

 震動観測

3月の火山性地震、火山性微動、火砕流と思われる震動波形及び落石震動の発生回数は第1表のとおりです。

第1表 3月の火山性地震、火山性微動、火砕流と思われる震動波形、及び落石震動の旬別回数

(カッコ内は、前月の回数)

火山性地震

火山性微動

火砕流波形

落石震動

A点

E点

A点

E点
 上旬 1 6 0 0   0 1
 中旬 1 2 0 0   0 2
 下旬 0 19 1 2   0 1

月合計
2(3) 27(9) 1(0) 2(1)   0(0) 4(0)

*A点(矢岳:普賢岳の南西3.6km) E点(薊谷:普賢岳の南西0.5km)

(1) 火山性地震

3月は火山性地震をA点で2回観測しました。これは、平成新山の直下を震源とする比較的浅い地震(B型地震)でした。また、山体に最も近いE点では前月より少し増えて27回観測しました。
4月に入ってからは、9日までにB型地震をE点で4回観測しています。

(2) 火山性微動

3月は火山性微動を28日に1回観測しました。これは、昨年11月24日以来で傾斜変動を伴うものでした。また、E点では2回観測しました。
4月に入ってからは、9日までに火山性微動は観測されていません。

(3) 落石震動

3月には落石震動を4回観測しました。
4月に入ってからは、9日までに落石震動は観測されていません。

3 現地観測

溶岩ドーム現地観測
3月13日に溶岩ドーム(平成新山)の現地観測を実施しました。
今回の観測で、最も高かった場所の噴気温度は420℃でした。
なお、前回平成11年3月23日の観測では486℃でした。

4 機上観測

平成新山(溶岩ドーム)の機上観測を陸上自衛隊の協力により3月6日に実施しました。
第10溶岩ドーム西部隆起部の中央付近の溶岩塊には、剥離が見られ風化が進んでいました。溶岩ドーム全体の形状に大きな変化は見られませんでした。 第11溶岩ドーム付け根付近からの噴煙は、白色、少量で約30メートルの高さに上がっていました。

5  遠 望 観 測 

遠望カメラによる観測
3月の遠望観測による噴煙の最高高度は100mで、噴煙量は依然として少ない状態が続きました。
なお、噴煙はすべて白色、少量でした。
4月に入ってからも9日までに噴煙量等に特に変化はありません。

6 地殻変形観測

(1) 傾斜計による観測結果
3月は傾斜変動を28日に、1回観測しました。これは、28日04時17分に発生した火山性微動に伴うもので、普賢岳方向が高くなるごく小さな変動が観測されました。傾斜変動を観測したのは1998年11月1日以来でした。
4月に入ってから9日までに、傾斜計の変動は観測されていません。

(2) GPS測量による観測結果
人工衛星を利用したGPSによる溶岩ドーム(平成新山)の観測を行った結果、1999年9月30日から今年3月14日の期間に、溶岩ドーム西部隆起部中央から自重沈降しながら放射状に広がっているのが観測されました。
変位量の最大は南東側で約7cmでした。