平成10年7月10日10時00分
雲仙岳測候所発表
6月の雲仙岳の火山活動は,落ち着いた状態が続きました。この期間,平成新山の形状にはほとんど変化が見られず,火山性地震も少ない状態で推移しました。
7月に入ってからも,火山活動は落ち着いた状態が続いています。
6月の火山性地震,火山性微動,火砕流と思われる震動波形及び落石震動の発生回数は第1表のとおりです。
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A点 |
E点 |
A点 |
E点 |
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上旬 |
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1(1) |
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0(0) |
0(0) |
0(2) |
中旬 |
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2(1) |
0(0) |
0(0) |
0(0) |
13(1) |
下旬 |
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0(0) |
0(0) |
0(0) |
0(0) |
11(0) |
月合計 |
0(0) |
3(2) |
0(0) |
0(0) |
0(0) |
24(3) |
(1) 火山性地震
6月はA点で観測された火山性地震はありませんでしたが,山体に最も近いE点では3回観測しました。
7月に入ってからは9日までに,A点では観測しませんでしたが,E点では1回観測しました。
(2) 火山性微動
6月は火山性微動はありませんでした。
7月に入ってからも9日までに,火山性微動は観測していません。
(3) 落石震動
6月の落石震動回数は24回と多くなりました。そのうち19日には13回観測しました。1日の落石震動としては1996年2月12日の20回以来の回数でした。これは梅雨期間に入り降水量の増加によるものです(6月月間降水量1042.5mm)。
7月に入ってからは9日までに,落石震動波形を2回観測しています。
(1) 温泉観測
6月は18日に雲仙地獄,小浜温泉の現地観測を実施しました。噴気,温度,ガス,pH,水位何れの観測値にも大きな変化はありませんでした。
4 遠望観測
遠望カメラによる観測
6月の遠望観測による噴煙の最高高度は100mで,噴煙量は依然として少
ない状態が続いています。なお,すべて白色,少量の噴煙でした。
7月に入ってからも9日までに,噴煙量等に特に変化はありませんでした。
5 地殻変形観測
(1) 傾斜計による観測結果
6月は傾斜変動は観測していません。
7月に入ってからは9日までに,傾斜変動は観測していません。
(2) 光波測量観測結果
気象庁と通産省工業技術院地質調査所で行っている光波測量によると,普賢岳山体に付けた反射鏡との斜距離は北側及び南側の測線ともに,ほとんど変化はありませんでした。
九州大学との共同観測による,平成新山西側隆起部南東側に設置している反射鏡(D2)と新大野木場観測定点(W4)の斜距離変化は第1図のとおりです。観測開始以来1110日間に2759mm縮んでいます。
これは溶岩ドームが収縮,自重沈下していることによるものです。
第1図 平成新山までの斜距離変化(1995/5/10-98/6/3:W4(新大野木場)-D2)
6 土石流
6月は土石流と思われる震動波形を13日05時50分から06時46分の1回観測しました。これは梅雨期間の大雨によるものでした。
7月に入ってから9日までは,土石流と思われる震動波形は観測していません。
7 火山情報の発表状況
6月10日の定期火山情報以降,火山情報の発表はありませんでした。