平成10年2月10日10時00分
雲仙岳測候所発表
1月の雲仙岳の火山活動は,落ち着いた状態が続きました。この期間,平成新山の形状にはほとんど変化が見られず,火山性地震は少ない状態で推移しました。
2月に入ってからも,火山活動は落ち着いた状態が続いています。
1月の火山性地震,火山性微動,火砕流と思われる震動波形及び落石震動の発生回数は第1表のとおりです。
なお,これまで火山性地震,及び火山性微動については,測候所の基準観測点(矢岳:普賢岳のSW3.6km,以下A点と記載)で観測された回数のみを載せていましたが,平成10年1月から同所が設置している地震計で山体に最も近い観測点(薊谷:普賢岳のSW0.5km,以下E点と記載)で観測された回数も併せて載せることとしました。
火山性地震 |
火山性微動 |
火砕流波形 |
落石震動 |
|||
A点 |
E点 |
A点 |
E点 |
|||
上旬 |
1(0) |
1 |
0(0) |
0 |
0(0) |
3(1) |
中旬 |
1(0) |
9 |
1(0) |
1 |
0(0) |
1(0) |
下旬 |
2(2) |
2 |
0(0) |
1 |
0(0) |
0(0) |
月合計 |
4(2) |
12 |
1(0) |
2 |
0(0) |
4(1) |
(1) 火山性地震
1月は火山性地震をA点で4回観測しました。このうち,島原半島周辺で発生する比較的深い地震(A型地震)が2回で,普賢岳山体を震源とする比較的浅い地震(B型地震)は2回でした。
また,山体に最も近いE点ではA型B型合わせて12回観測しました。
2月に入ってからは9日までに,A型地震を1回観測しています。
(2) 火山性微動
1月は17日にA点で火山性微動を1回観測しました。これは,傾斜変動を伴っており,昨年11月13日以来のものです。
また,E点では17日と27日にそれぞれ1回ずつ観測しました。27日の微動では傾斜変動は観測されませんでした。
2月に入ってからは,9日までに火山性微動は観測されていません。
(3) 落石震動
1月の落石震動回数は4回と少ない状態が続きました。
2月に入ってからは9日までに落石震動は観測されていません。
(1) 温泉観測
1月は14日に雲仙地獄,小浜温泉の現地観測を実施しました。雲仙地獄の大叫喚地獄で亜硫酸ガス(SO
(1) 遠望カメラによる観測
1月の遠望観測による噴煙の最高高度は100mで,噴煙量は依然として少 ない状態が続いています。なお,すべて白色,少量の噴煙でした。
(2) 測量による観測
1月は27日に仁田峠第2展望所観測定点から,溶岩ドーム(平成新山) の形状を観測するための測量観測を行いました。前回(12月23日)と比べ て大きな変化はありませんでした。
(1) 傾斜計による観測結果
1月は17日に傾斜変動を1回観測しました。
17日17時48分に発生した火山性微動により,九州大学が設置している傾斜計で,普賢岳方向が高くなる動きが観測されました。
2月に入ってからは9日までに傾斜変動は観測されていません
(2) 光波測量観測結果
1月は27日に仁田第2展望所観測定点から測量観測を試みましたが,気象状況が不良であったため,データを取ることができませんでした。
6 土石流
1月は土石流と思われる震動波形は観測されませんでした。
2月に入ってからも9日までは土石流と思われる震動波形は観測していません。
7 火山情報の発表状況
1月12日の定期火山情報以降,火山情報の発表はありませんでした。