平成10年1月12日10時00分
雲仙岳測候所発表
12月の雲仙岳の火山活動は,落ち着いた状態が続きました。この期間,平成新山の形状にはほとんど変化が見られず,火山性地震は少ない状態で推移しました。
1月に入ってからも,火山活動は落ち着いた状態が続いています。
12月の火山性地震,火山性微動,火砕流と思われる震動波形及び落石震動の発生回数は第1表のとおりです。
火山性地震 |
火山性微動 |
火砕流波形 |
落石震動 |
|
上旬 |
0(3) |
0(0) |
0(0) |
1(7) |
中旬 |
0(1) |
0(2) |
0(0) |
0(0) |
下旬 |
2(3) |
0(0) |
0(0) |
0(3) |
月合計 |
2(7) |
0(2) |
0(0) |
1(10) |
(1) 火山性地震
12月の火山性地震の発生回数は2回でした。島原半島周辺で発生する比較的深い地震(A型地震)を1回観測し,普賢岳山体を震源とする比較的浅い地震(B型地震)を1回観測しました。
1月に入ってからは11日までに火山性地震はB型地震を1回観測しました。
(2) 火山性微動
12月は火山性微動を観測しませんでした。
1月に入ってからは,11日までには火山性微動は観測されませんでした。
(3) 落石震動
12月の落石震動回数は1回と少ない状態が続きました。
1月に入ってからは11日までに落石震動を3回観測しました。
12月は16日に陸上自衛隊の協力による上空からのヘリ観測を実施しまし た。溶岩ドームには大きな変化はありませんでした。
12月は19日に雲仙地獄,小浜温泉の現地観測を実施しました。雲仙地獄の大叫喚地獄で亜硫酸ガスを700ppm観測したほかは,噴気,温度,ガス,pH,水位のいずれの観測値にも大きな変化はありませんでした。
(1) 遠望カメラによる観測
12月の遠望観測による噴煙の最高高度は100mで,噴煙量はいぜん少ない状態が続いています。なお,すべて白色,少量の噴煙でした。
(2) 測量による観測
12月は23日に仁田峠第2展望所観測定点から,溶岩ドーム(平成新山)の形状を観測するための測量観測を行いました。前回(11月24日)と比べて大きな変化はありませんでした。
(1)傾斜計による観測結果
12月は傾斜変動は観測していません。
1月に入ってからも11日までに傾斜変動は観測されませんでした。
(2)光波測量観測結果
気象庁と通産省工業技術院地質調査所で行っている光波測量によると,普賢岳山体に付けた反射鏡との斜距離は北側及び南側の測線ともに,ほとんど変化はありませんでした。
一方,九州大学との共同観測による,平成新山西側隆起部南東側に設置している反射鏡(D2)と仁田峠第2展望台観測定点(T6)の斜距離変化は図1のとおり960日間に1.565m縮んでいます。これは溶岩ドームが収縮・自重沈下していることによるものです。
図1平成新山までの斜距離変化(1995/5/8-97/12/23:T6(仁田峠第2展望所)-D2)
6 土石流
12月は土石流と思われる震動波形は観測していません。
1月に入ってからも11日までは土石流と思われる震動波形は観測していません。
7 火山情報の発表状況
12月10日の定期火山情報以降,火山情報の発表はありませんでした。
8 昨年1年間の活動状況
観測種目毎の月別観測資料を第2表に示します。