（平成９年１０月８日 平成新山現地観測図）
第１図 溶岩ドームの地中温度観測結果
１ 概 況
２ 震 動 観 測
１０月の火山性地震，火山性微動，火砕流と思われる震動波形及び落石震動の発生回数は第１表のとおりです。
| 火山性地震 | 火山性微動 | 火砕流波形 | 落石震動 | |
|---|---|---|---|---|
| 上旬 | ４（２） | ０（０） | ０（０） | １（７） |
| 中旬 | ３（４） | ０（０） | ０（０） | ０（４） |
| 下旬 | １（６） | １（０） | ０（０） | ３（０） |
| 月合計 | ８（12） | １（０） | ０（０） | ４（11） |
(1) 火山性地震
１０月の火山性地震の発生回数は８回でした。島原半島周辺で発生する比較的深い地震（Ａ型地震）を８回観測し，普賢岳山体を震源とする比較的浅い地震（Ｂ型地震）は観測されませんでした。
１１月に入ってからは９日までにＡ型地震を３回観測しています。
(2) 火山性微動
１０月は２６日に火山性微動を１回観測しました。これは５月１日以来今年２回目の観測となりました。
１１月に入ってからは，９日までには火山性微動を観測していません。
(3) 落石震動
１０月の落石震動回数は４回と落ち着いた状態が続きました。
１１月に入ってからは９日までに落石震動を４回観測しています。
３ 現地観測
(1) 機上観測
１０月１３日に陸上自衛隊の協力による上空からのヘリ観測を実施しました。溶岩ドーム南東斜面(赤松谷)方向と東斜面(第１１ドーム)に小崩落跡が見られました。
(2)温泉観測
１０月は２０日に雲仙地獄，小浜温泉の現地観測を実施しました。噴気，温度，ガス，ｐＨ，水位のいずれの観測値にも大きな変化はありませんでした。
(3) 溶岩ドーム観測
１０月８日に溶岩ドーム（平成新山）の現地観測を実施しました。地中温度の最も高い場所は３３１度でした。またドームの形状，噴煙等には大きな変化はありませんでした。
４ 遠 望 観 測
(1) 遠望カメラによる観測
１０月の遠望観測による噴煙の最高高度は１００ｍで,噴煙量は依然少ない状態が続いています。なお，すべて白色，少量の噴煙でした。
(2) 測量による観測
１０月は２０日に仁田峠第２展望所観測定点から，溶岩ドーム（平成新山）の形状を観測するための測量観測を行いました。前回（９月２４日）と比べて大きな変化はありませんでした。
５ 地殻変形観測
(1)傾斜計による観測結果
１０月は傾斜変動は観測していません。
１１月に入ってからも９日までに傾斜変動は観測していません。
(2)光波測量観測結果
気象庁と通産省工業技術院地質調査所で行っている光波測量によると，普賢岳山体に付けた反射鏡との斜距離は北側及び南側の測線ともに，ほとんど変化はありませんでした。
一方，九州大学との共同観測による，平成新山西側隆起部南東側に設置している反射鏡（Ｄ２）と仁田峠第２展望台観測定点（Ｔ６）の斜距離変化は第２図のとおり８９６日間に1.557ｍ縮んでいます。これは溶岩ドームが収縮・自重沈下していることによるものです。
６ 土 石 流
１０月は土石流と思われる震動波形は観測していません。
１１月に入ってからも９日までは土石流と思われる震動波形は観測していません。
７ 火山情報の発表状況
１０月１２日の定期火山情報以降，火山情報の発表はありませんでした。