1 概 況
2 震 動 観 測
8月の火山性地震,火山性微動,火砕流と思われる震動波形及び落石震動の発生回数は第1表のとおりです。
火山性地震 | 火山性微動 | 火砕流波形 | 落石震動 | |
---|---|---|---|---|
上旬 | 3(2) | 0(0) | 0(0) | 0(13) |
中旬 | 3(2) | 0(0) | 0(0) | 0(6) |
下旬 | 17(6) | 0(0) | 0(0) | 2(8) |
月合計 | 23(10) | 0(0) | 0(0) | 2(27) |
(1) 火山性地震
8月の火山性地震の発生回数は23回でした。島原半島周辺で発生する比較的深い地震(A型地震)は21回観測し,普賢岳山体を震源とする比較的浅い地震(B型地震)は2回観測しました。
また,22日にはA型地震の有感地震(雲仙岳測候所で震度1)を2回観測しました(6時57分と7時31分)。震源はともに橘湾で,マグニチュードは3.4でした。火山性地震で有感となったのは,今年7月30日に橘湾を震源とする地震(雲仙岳測候所で震度2)以来のことです。
9月に入ってからは9日までにA型地震を1回観測しています。
(2) 火山性微動
8月は火山性微動を観測していません。
9月に入ってからも,9日までに火山性微動は観測していません。
(3) 落石震動
8月の落石震動回数は2回(前月は27回)と少ない状態でした。
9月に入ってからは9日までに落石震動を7回観測しています。
3 現地観測
(1)温泉観測
8月は18日に雲仙地獄,小浜温泉の現地観測を実施しました。噴気,温度,ガス,pH,水位のいずれの観測値にも大きな変化はありませんでした。
(2) 溶岩ドーム観測
8月は19日に溶岩ドーム(平成新山)の現地観測を実施しました。前回(5月28日),地中温度が最も高かった観測点(412℃)は岩塊の崩落により埋没しており,測定できませんでした。それ以外で地中温度が最も高いところでは351℃を観測しました(埋没した観測点のすぐ西側)。50cm深の地中温度の観測結果は第1図のとおりです。
ドーム全体の形状には,大きな変化はありませんでした。
噴煙量は大きな変化はありませんでした。
溶岩ドーム上での2カ所の観測点で,地中温度の連続観測を開始しました。
4 遠 望 観 測
(1) 遠望カメラによる観測
8月の遠望観測による噴煙の最高高度は200mで,噴煙量は依然少ない状態が続いています。なお,すべて白色,少量の噴煙でした。
(2) 測量による観測
8月は4日に仁田峠第2展望所観測定点から,溶岩ドーム(平成新山)の形状を観測するための測量観測を行いました。前回(6月13日)と比べて大きな変化はありませんでした。
5 地殻変形観測
(1)傾斜計による観測結果
8月は傾斜変動は観測していません。
9月に入ってからも9日までに傾斜変動は観測していません。
(2)光波測量観測結果
気象庁と通産省工業技術院地質調査所で行っている光波測量によると,普賢岳山体に付けた反射鏡との斜距離は北側及び南側の測線ともに,ほとんど変化はありませんでした。
一方,九州大学との共同観測による,平成新山西側隆起部南東側に設置している反射鏡(D2)と新大野木場観測定点(W4)の斜距離変化は第3図のとおりです。7月に測線の斜距離の縮みの割合が大きくなっていましたが,8月にはいってからは,それまでのペースに戻りました。観測開始以来,816日間に2.387m縮んでいます。これは溶岩ドームが収縮・自重沈下していることによるものです。
6 土 石 流
8月の土石流と思われる震動波形(観測点:岩床山)は,6日に10時02分〜11時22分と11時45分〜12時04分の2回観測しています。継続時間が1時間を超えたのは,昨年6月17日〜18日にかけて1時間27分を観測して以来のことです。この土石流震動は,雲仙岳測候所で任意の1時間雨量が79.0mmを観測した(歴代2位)ことに伴うものです。
なお,これらによる被害は特にありませんでしたが,建設省雲仙復興工事事務所によると,水無川の砂防ダム等には,約30万立方メートルの土砂が堆積したとのことです。
9月にはいってからの土石流と思われる震動波形は,7日に3時51分〜4時17分と6時21分〜7時02分と7時46分〜8時22分の3回観測しました。これらによる被害は特にありませんでしたが,建設省雲仙復興工事事務所によると,水無川の砂防ダム等には,約4万立方メートルの土砂が堆積したとのことです。
7 火山情報の発表状況
8月11日の定期火山情報以降,火山情報の発表はありませんでした。