1 概 況
2 震 動 観 測
7月の火山性地震,火山性微動,火砕流と思われる震動波形及び落石震動の発生回数は第1表のとおりです。
火山性地震 | 火山性微動 | 火砕流波形 | 落石震動 | |
---|---|---|---|---|
上旬 | 2(6) | 0(0) | 0(0) | 13(2) |
中旬 | 2(1) | 0(0) | 0(0) | 6(1) |
下旬 | 6(2) | 0(0) | 0(0) | 8(2) |
月合計 | 10(9) | 0(0) | 0(0) | 27(5) |
(1) 火山性地震
7月の火山性地震の発生回数は10回でした。島原半島周辺で発生する比較的深い地震(A型地震)は8回観測し,普賢岳山体を震源とする比較的浅い地震(B型地震)は2回観測しました。
また,30日には今年2月25日以来の有感地震(雲仙岳測候所で震度2)を観測しました。
8月に入ってからは10日までにA型地震を2回,B型地震を1回観測しています。
(2) 火山性微動
7月は火山性微動を観測していません。
8月に入ってからも,10日までに火山性微動は観測していません。
(3) 落石震動
7月の落石震動回数は27回(前月は5回)と今年最多でした。これは6月下旬から7月中旬にかけて断続的に降っている雨の影響により,ドームが崩れやすくなっていたためだと考えられます。このうち26日の21時09分には継続時間が80秒の落石震動波形を観測しましたが,この震動波形が何によるものか確認できるまでは「火砕流と思われる震動波形」として取り扱っていました。翌27日に測候所が現地調査を行った結果,この波形は溶岩ドーム中央南側の一部が赤松谷方向に崩落したため発生したもので,付近に降灰等がないことから「落石震動波形」と訂正しました。
8月に入ってからは10日まで落石震動は観測していません。
3 現地観測
(1) 機上観測
7月23日に陸上自衛隊の協力による上空からのヘリ観測を実施しま した。溶岩ドーム南東斜面(赤松谷方向)に小崩落跡が見られました。
(2)温泉観測
7月は15日に雲仙地獄,小浜温泉の現地観測を実施しましたが大きな変化はありませんでした。小浜町山領において井戸の水位観測を実施しましたが,井戸の深さは4.3mと前回(6月15日)に比べて3.8m水位が上昇していました。これは7月5日の降り始めから14日までに900mm(雲仙岳測候所観測値)を超す降水があったためと考えられます。
4 遠 望 観 測
(1) 遠望カメラによる観測
7月の遠望観測による噴煙の最高高度は100mで,噴煙量は依然少ない状態が続いています。なお,すべて白色,少量の噴煙でした。
(2) 測量による観測
7月は25日に深江町新大野木場観測定点から,溶岩ドーム(平成新山)の形状を観測するための測量観測を行いました。前回(5月23日)と比べて大きな変化はありませんでした。
5 地殻変形観測
(1)傾斜計による観測結果
7月は傾斜変動は観測していません。
8月に入ってからも10日までに傾斜変動は観測していません。
(2)光波測量観測結果
気象庁と通産省工業技術院地質調査所で行っている光波測量によると,普賢岳山体に付けた反射鏡との斜距離は北側及び南側の測線ともに,ほとんど変化はありませんでした。
一方,九州大学との共同観測による,平成新山西側隆起部南東側に設置している反射鏡(D2)と仁田峠第2展望所観測定点(T6)の斜距離変化は第1図のとおりで818日間に1476mm縮んでいます。これは溶岩ドームが収縮・自重沈下していることによるものです。
6 土 石 流
7月の土石流と思われる震動波形は9日に02時27分〜02時34分と03時41分〜04時04分の2回,10日に01時51分〜02時05分までの1回,また17日に06時12分〜06時25分の1回の計4回でした。
8月に入ってからは6日に10時02分〜11時32分と11時45分〜12時04分の2回観測しています。継続時間が1時間を超えたのは,昨年6月17日〜18日にかけて1時間27分を観測して以来のことです。
なお,これらによる被害は特にありませんでした。
7 火山情報の発表状況
7月10日の定期火山情報以降,火山情報の発表はありませんでした。