平成9年1月10日10時00分
雲仙岳測候所発表
火山名:雲仙岳
1 概 況
昨年12月の雲仙岳の火山活動は,落ち着いた状態が続きました。この期間,平成新山の形状にはほとんど変化が見られず,火山性地震は少ない状態で推移しました。
今年1月に入ってからも、火山活動は落ち着いた状態が続いています。
2 震 動 観 測
12月の火山性地震・火山性微動・火砕流と思われる震動波形の発生回数は第1表のとおりです。
第1表 火山性地震・火山性微動・火砕流と思われる震動波形の旬別回数
(カッコ内は,先月の回数)
| 火山性地震 | 火山性微動 | 火砕流波形 | |
|---|---|---|---|
| 上旬 | 4(9) | 0(0) | 0(0) |
| 中旬 | 2(2) | 0(0) | 0(0) |
| 下旬 | 8(6) | 2(0) | 0(0) |
| 月合計 | 14(17) | 2(0) | 0(0) |
(1) 火山性地震
12月の火山性地震の発生回数は14回でした。このうち島原半島周辺で発生する比較的深い地震(A型地震)は12回で,普賢岳山体を震源とする比較的浅い地震(B型地震)は2回観測されました。
1月に入ってからは9日までにA型地震を4回,B型地震を1回観測しています。
(2) 火山性微動
12月は火山性微動が2回観測されました。これらの火山性微動は古い溶岩の崩落によるものでした。
1月に入ってからは9日まで火山性微動の発生はありません。
3 現地観測
(1)機上観測
12月19日に自衛隊の協力による上空からのヘリ観測を実施しました。平成新山8合目付近から上は雲のため溶岩ドームや噴煙の様子を観測できませんでした。火砕流、土石流堆積物は浸食がすすみ、谷がいっそう深くなっていました。
(2)温泉観測
12月24日に雲仙地獄,小浜温泉の現地観測を実施しました。7月と8月及び10月の観測で検出されていた雲仙,大叫喚地獄の亜硫酸ガスは,11月と同様に12月も検出されませんでした。小浜町山領において井戸の水位観測を実施しましたが,井戸の深さは8.6mで特に変化はありませんでした。
(3) 平成新山現地観測
12月12日に平成新山ドーム現地観測を実施しました。第1図の図示した測定点のうち最も高かった地中温度は恐竜の背中状隆起部の南西側付け根部分で623℃でした。恐竜の背中状隆起部の北東側付け根部分で434℃,溶岩ドーム南側で329℃,北西部で539℃でした。
第1図 平成深山溶岩ドーム付近状況図
4 遠 望 観 測
12月の遠望観測による噴煙の最高高度は200mで,噴煙量は依然少ない状態が続いています。観測できた日の噴煙は全て白色,少量でドーム頂上付近からのものでした。
5 地殻変形観測
(1)傾斜計による観測結果
12月は傾斜変動は観測されていません。
1月に入ってからも9日までに傾斜変動は観測されていません。
(2)セオドライト(経緯儀)による平成新山観測結果
この期間のセオドライト(経緯儀)を用いた観測による,平成新山の状況は第2図のとおりで,形状に大きな変化はありません。
第2図 平成新山の稜線変化(1996/11/23-12/25:仁田峠第2展望所)
(3)光波測量観測結果
気象庁と通産省工業技術院地質調査所で行っている光波測量によると,普賢岳山体に付けた反射鏡との斜距離は北側及び南側の測線ともに,ほとんど変化はありませんでした。
一方,九州大学との共同観測による,平成新山西側隆起部北西側に設置している反射鏡(D1)と礫石原観測定点(T6)の斜距離変化は第3図のとおりで609日間に839mm縮んでいます。これは溶岩ドームが収縮・自重沈下していることによるものです。
第3図 平成新山までの斜距離変化(1995/4/12-96/12/11:T5(礫石原)- D1)
6 土 石 流
12月は土石流と思われる震動波形は観測されていません。1月は9日までに土石流と思われる震動波形は観測されていません。
7 火山情報の発表状況
12月10日の定期火山情報以降,火山情報の発表はありませんでした。
8 昨年1年間の活動状況
観測種目毎の月別観測資料を第2表に示します。