1 概 況
2 震 動 観 測
6月の火山性地震・火山性微動・火砕流と思われる震動波形の発生回数は第1表のとおりで,島原半島付近の火山性地震の震源分布は第1図のとおりです。
火山性地震 | 火山性微動 | 火砕流波形 | |
---|---|---|---|
上旬 | 7(4) | 2(1) | 0(1) |
中旬 | 3(4) | 10(2) | 0(0) |
下旬 | 7(3) | 2(0) | 0(0) |
月合計 | 17(11) | 14(3) | 0(1) |
3 現地観測
温泉観測
6月26日に雲仙地獄,小浜温泉の現地観測を実施しましたが,特に変化はありませんでした。小浜町山領において井戸の水位観測を実施しましたが,井戸の深さは7.1mで特に変化はありませんでした。
4 遠 望 観 測
6月の遠望観測による噴煙の最高高度は60mで,噴煙量は依然少ない状態が続いています。観測できた日の噴煙は全て白色,少量でドーム頂上付近からのものでした。
5 地殻変形観測
(1)傾斜計による観測結果
6月は傾斜変動は観測されていません。
7月に入ってからも9日までは傾斜変動は観測されていません。
(2) 光波測量観測
気象庁と通産省工業技術院地質調査所で行っている光波測量によると,普賢岳山体に付けた反射鏡との斜距離は北側及び南側の測線ともに,ほとんど変化はありませんでした。
一方,九州大学との共同観測による,平成新山西側隆起部北西側に設置している反射鏡(D1)と礫石原観測定点(T5)の斜距離変化は第2図のとおりで438日間に654mm縮んでいます。これは,溶岩ド−ムが収縮・自重沈下していることによるものです。
6 土 石 流
6月17日から7月6日にかけて,梅雨期の降雨により,火山堆積物による土石流の震動波形をC点(岩床山)の地震計で7回観測しました(第2表)。6月30日以外は長崎県映像ネットワークの配信映像により,水無川での土石流の発生を確認しました。これら一連の土石流のため,水無川の第3遊砂地等が土砂でほぼ満杯となり,土砂の一部が国道57号線に流出したため通行止めとなりました。また,中尾川水系でもほぼ同じ頃に土石流が発生し,島原市千本木付近で県道58号線が土砂に覆われ通行止めになりました。(道路被害は長崎県島原振興局道路課による)
なお,一連の土石流による土砂の堆積量合計は,水無川で約60万立方メートル・中尾川で約7万立方メートルです(建設省雲仙復興工事事務所による)。
通番 (本年) | 震動波形観測時間 (雲仙岳測候所C点(岩床山) | 降水量(雲仙岳測候所) | |
---|---|---|---|
1時間最大 | 10分最大 | ||
2 | 6月17日11時48分〜12時20分 | 16.5mm | 6.0mm |
3 | 6月17日23時33分〜18日01時00分 | 49.0mm | 14.0mm |
4 | 6月20日08時10分〜08時25分 | 31.5mm | 9.5mm |
5 | 6月30日03時30分〜03時38分 | 28.0mm | 11.5mm |
6 | 7月3日12時49分〜13時42分 | 74.0mm | 25.0mm |
7 | 7月5日06時18分〜06時53分 | 56.5mm | 19.5mm |
8 | 7月6日22時51分〜23時19分 | 43.5mm | 13.5mm |
7 火山情報の発表状況
6月1日以降,火山情報の発表はありませんでした。