定期火山情報

第1号

平成7年1月18日15時30分
雲仙岳測候所発表
火山名:雲仙岳

1  概 況
 この期間(平成6年9月から12月),溶岩ドームは西側隆起部が依然として成長と崩落を繰り返しました。昨年10月下旬からは,この隆起部の中央付近で塔状,板状の溶岩の隆起が観測され,なお,本年1月9日には溶岩ド−ムの標高はこれまでで最高の1500メ−トルとなりました。
 火砕流の発生回数は10月以降減少してきましたが,時折南東及び北東方向に2キロメ−トルほど流下しています。また,火山性地震の回数は減りましたが,昨年10月中旬頃からその発生間隔に周期性が見られるようになりました。また,次第に振幅のやや大きな地震が発生するようになり,昨年末頃からは有感地震も含まれるようになってきました。
 このように,火山活動は依然活発な状態が続いています。

2 火砕流
 この期間の火砕流の発生状況は,第1図から第4図及び第1表のとおりです。なお,火砕流の到達距離と方向は,旧地獄跡火口からの水平直線距離と方向で表しています。
  9月
 9月の火砕流と思われる震動波形の発生回数は128回でした。これらの火砕流は,8月に引き続き,主に火口南西(龍の馬場)方向及び火口南東(赤松谷)方向へ崩落しました(第3図)。特に11日から13日にかけて頻発し,11日には37回の火砕流震動を観測しました。
 これらの火砕流のうち最も継続時間の長いものは11日03時40分の840秒でした。この火砕流を含め火口南西(龍の馬場)方向へ流下した火砕流は,地形的な条件もあり距離は余り延びず最長でも2キロメ−トル程度でした。また,断続的な崩落により継続時間が長くなる傾向が見られました。確認できた最も長い到達距離は,11日09時45分(継続時間130秒)の2.5キロメートルで,火口南東(赤松谷)方向に流下しました。
  10月
 10月の火砕流と思われる震動波形の発生回数は7回でした。これは,月の発生回数としては,これまでで最少でした。火砕流は全方向的に発生しました(第3図)。
 これらの火砕流のうち最も継続時間の長いものは8日10時53分の120秒(南西方向1.0キロメ−トルでした。また,確認できた最も長い到達距離は,3日11時34分(継続時間30秒)に北北西(三会川)方向へ,26日14時23分(継続時間90秒)に南東(赤松谷)方向へ,28日16時14分(継続時間30秒)に北東(中尾川)方向へいずれも2.0キロメ−トル付近まで達しました。
  11月
 11月の火砕流と思われる震動波形の発生回数は,先月に引き続き少なく8回で,主に南東(赤松谷)方向に発生しました。
 これらの火砕流のうち最も継続時間の長いものは,27日07時22分の160秒で南東(赤松谷)方向へ2.0キロメ−トル付近まで達しました。
  12月
 12月の火砕流と思われる震動波形の発生回数も先月に引き続き少なく12回でした。
 これらの火砕流は,主に火口南東(赤松谷)方向及び火口北東(中尾川)方向へ流下しました。これらの火砕流のうち最も継続時間の長いものは,13日13時51分の100秒で南東(赤松谷)方向へ2.0キロメ−トル付近まで達しました。
 なお,各月の火砕流の発生方向の頻度分布は第4図のとおりです。

第1表 最近の主な火砕流(1994年9月−1994年12月)
(震動波形の継続時間180秒以上,または水平到達距離3km以上)
発生時間継続秒流下方向到達距離(km)備 考
935:53250南西(龍の馬場)方向1.5
9113:40840南東(赤松谷南西)方向2地震を含む
9119:24190南西(龍の馬場)方向1.5地震を含む
91114:25210南西(龍の馬場)方向2
9128:50210南西(龍の馬場)方向1.5
91310:32210南西(龍の馬場)方向1.5
91311:58350南西(龍の馬場)方向1.5地震に伴う
91312:22180南西(龍の馬場)方向1.5
91313:27220南西(龍の馬場)方向1.5
91314:09180南西(龍の馬場)方向1.5


第1図 火砕流と思われる震動波形の発生状況(1991年5月以降)

第2図 火砕流と思われる震動波形の発生状況(1994年9月以降)

第3図 方向別火砕流の発生状況(1994年9月以降)


第4図 各月の火砕流の発生方向分布

3  震 動 観 測
 この期間の地震・微動・火砕流と思われる震動波形の発生状況の推移は第2表,及び第6図から第8図のとおりで,この期間の地震の震源分布は第5図のとおりです。
 なお,ここで用いている地震微動等の回数は速報値であり,振幅と周期のデータは自動験測値です。これらの観測値は後日訂正されることがあります。
  9月
 普賢岳山体を震源とする比較的浅い地震の1日の発生回数は,月のはじめは8月に引き続き,400回程度と比較的多い状態でしたが,次第に減少し中旬には100回前後,下旬には10回程度で推移しました(第6図)。中旬までは,比較的振幅の大きな地震(A点上下動で10μm以上)が発生していましたが,下旬になると発生しなくなりました。
 9月の火山性地震回数は3260回(いずれも無感)でした。
  10月
 普賢岳山体を震源とする比較的浅い地震は,1日当たり約10回から70回程度で推移しました。これらの地震の振幅は全体的に小さく,大きなものでもA点上下動で約6μm程度でした(第7図)。
 また,中旬頃から比較的小さな地震の中に相似性が見られるようになり,さらに,発生にも周期性(約38時間周期)が顕著に見られるようになりました。
 10月の火山性地震回数は993回(いずれも無感)でした。
  11月
 普賢岳山体を震源とする比較的浅い地震は,上旬は1日当たり約10回から50回程度で推移しました。下旬になると1日当たり10回程度で推移しました。また下旬には,比較的振幅の大きな地震(最も大きなものでA点上下動で約12μm)も発生するようになりました(第7図)。
 また,先月中旬頃から見られるようになった地震の発生間隔の周期性は,依然続きましたが,中旬頃から地震回数の減少とともに明瞭さがなくなってきました。
 11月の火山性地震回数は436回(いずれも無感)でした。
  12月
 普賢岳山体を震源とする比較的浅い地震の発生回数は,月全体をとおして1日当たり数回から30回の間で消長を繰り返しながら推移しました。また,比較的振幅の大きな地震が含まれるようになり,その振幅は次第に大きくなる傾向が見られました。これらの地震のなかで,最も大きなものは28日20時14分に震度Tを記録したマグニチュ−ド2.4(福岡管区気象台による)の地震で,A点上下動振幅は約30μmでした(第7図)。
 また,地震の発生間隔の周期性は,先月に引き続き明瞭さがなくなってきたものの,発生間隔が次第に長くなりながらも(下旬には約60時間間隔),継続しています。
 12月の火山性地震回数は329回(うち有感地震1回)でした。

第2表 月別地震・微動・火砕流と思われる震動波形数
有感地震
回  数
無感地震
回  数
総 地 震
回  数
微動回数火 砕 流
震動回数
9月032603260862128
10月09939931587
11月04364361228
12月132832910412
合計1501750181246155


第5図 1994年9月−12月の島原半島付近の地震の震源分布

第6図 日別地震回数の推移(1994年9月以降)

第7図 1994年9月からの地震の振幅・周期・時別発生回数の推移

第8図 微動の発生状況(1994年9月以降)

4  現地観測 
(1) 機上観測
  ・9月21日
第9図 赤松谷上流部の火砕流堆積物の状況
(94/9/21自衛隊ヘリより撮影)
 溶岩ドーム西部隆起部は,前回(8月23日)の観測に比べ大きく成長した様子はありませんでしたが,その南側は険しい崖錐となっていました。南北の隆起部の間は広くなだらかな窪地となっており,この窪地からの噴煙活動はありませんでした。
 周囲の火砕流堆積物の状況は,火口南西(龍の馬場)方向で,前回の観測に比べ,広く厚くなっており,比較的新しいものは約1.5キロメートル付近まで達していました。また,火口南東(赤松谷)方向では,比較的新しい火砕流堆積物が約2.5キロメートル付近まで達していましたが,幅は狭く,厚みもありませんでした。

  ・10月13日
第10図 西側から見た溶岩ド−ム西側隆起部
(94/10/13自衛隊ヘリより撮影)
 溶岩ドーム西部隆起部の南北のピークは,8月23日以来大きく成長した様子はありませんでしたが,その北側の隆起部はいぜん緩やかな張り出しを続けており,北側斜面は険しい崖錐となっています。北北西から北東にかけての斜面で小規模な溶岩の崩落が観測されました。南北の隆起部の間は広くなだらかな窪地となっており,この窪地からの噴煙活動はありませんでした。
 周囲の火砕流堆積物の状況は,火口北北西(三会川)方向に,比較的新しい火砕流堆積物が2.0キロメートル付近まで達していました。しかし,堆積物の幅は狭く,厚みもありませんでした。また,火口北東(おしが谷)方向にも,比較的新しい火砕流堆積物が約1.0キロメートル付近まで達していましたが,幅は狭く,厚みもありませんでした。火口南西(龍の馬場)には比較的新しい火砕流堆積物が,1キロメートル付近まで達していました。赤松谷川上流部の堆積物の量は前回と比べて大きな変化はありませんでした。火口南東(赤松谷)方向は雲のため,不明でした。

  ・10月25日
第11図 東側から見た溶岩ド−ム西側隆起部
(94/10/25自衛隊ヘリより撮影)
 溶岩ドーム西部隆起部では,8月23日以来観測している南北の2つの隆起部は、大きく成長した様子はありませんでした。しかし,北側の隆起部は依然ゆるやかな張り出しを続けており、北側斜面は険しい崖錐となっていました。ここから北北西に小規模な溶岩の崩落が観測されました。また北側と南側の隆起部の間は前回は広くなだらかなくぼ地となっていましたが、やや隆起し、平たく台地状になってきました。また、この台地状の中央付近に溶岩塊が大きく隆起していました。この台地状の部分からは目立った噴煙活動はありませんでした。
 また,第13溶岩ドームで,前回窪地になっていたところがやや隆起していました。
 周囲の火砕流堆積物の状況は,火口北北西(三会川)方向,北東(おしが谷)方向,南東(赤松谷)方向及び南西(龍の馬場)方向に,比較的新しい堆積物がそれぞれ約1.0キロメートルまで達していました。いずれも堆積物の幅は細く、厚みもありませんでした。

  ・11月8日
第12図 南東から見た溶岩ド−ム西側隆起部
(94/11/8自衛隊ヘリより撮影)
 溶岩ドーム西部隆起部の南北のピークは,大きく成長した様子はありませんでした。南北の隆起部の間は広くなだらかな窪地となっており,前回の機上観測の折りに確認された塔状の溶岩塊(溶岩塔)は大きく成長していました。また,この溶岩塔の根元から西方向に恐竜の背中状の隆起が観測されました。
 周囲の火砕流堆積物の状況は,火口北北西(三会川)方向に,比較的新しい火砕流堆積物が1.5キロメートル付近まで達していました。しかし,堆積物の幅は狭く,厚みもありませんでした。また,火口北東(おしが谷)方向にも,比較的新しい火砕流堆積物が約2.0キロメートル付近まで達していましたが,滑り台のような細いスロープ状になっており,厚みもありませんでした。火口南西(龍の馬場)には比較的新しい火砕流堆積物が,1キロメートル付近まで達していました。赤松谷川上流部の堆積物の量は前回と比べて大きな変化はありませんでした。火口南東(赤松谷)方向へは,比較的新しい火砕流堆積物が約2.0キロメートル付近まで達していました。堆積物の幅は狭く,厚みもありませんでした。

  ・11月21日
第13図 南東から見た溶岩ド−ム西側隆起部
(94/11/21自衛隊ヘリより撮影)
 溶岩ドーム西部隆起部では,南北の2つの隆起部は,大きく成長した様子はありませんでした。しかし、恐竜の背中状の隆起は前回の観測時よりも隆起しており,溶岩塔は崩落により低くなっていました。
 周囲の火砕流堆積物の状況は,火口北北西(三会川)方向に,比較的新しい火砕流堆積物が0.5キロメートル付近まで達していましたが,堆積物の幅は狭く,厚みもありませんでした。また,火口北東(おしが谷)方向にも,20日の火砕流によると思われる火砕流堆積物が約2.0キロメートル付近まで達していましたが,堆積物の幅は狭く,厚みもありませんでした。火口南西(龍の馬場)及び赤松谷川上流部の堆積物の量は前回と比べて大きな変化はありませんでした。火口南東(赤松谷)方向へは,18日〜20日にかけての火砕流によると思われる火砕流堆積物が約2.0キロメートル付近まで達していましたが,堆積物の幅は狭く,厚みもありませんでした。

  ・12月6日
第14図 南西から見た溶岩ド−ム西側隆起部
(94/12/6自衛隊ヘリより撮影)
 溶岩ドーム西部隆起部の南北のピークは,大きく成長した様子はありませんでした。南北の隆起部の間は台地状になっており,中央部分の恐竜の背中状隆起は,前回の観測時よりも隆起が進んでおり,そのすぐ東側にある溶岩塔(11月上〜中旬に成長した)の残骸の高さを超えて,ドームの頂部になっていました。
 比較的新しい堆積物はどの方向でも確認できませんでした。

  ・12月20日
第15図 西南西から見た溶岩ド−ム西側隆起部
(94/12/20自衛隊ヘリより撮影)
 観測中の10時01分には地震に伴う崩落があり,これに伴う灰褐色の噴煙が高さ約100メートルまで上がり南東に流れました。 溶岩ドーム西部隆起部では,南北の2つの隆起部は,大きく成長した様子はありませんでした。しかし,中央部分の恐竜の背中状の隆起は,前回の観測時よりもさらに隆起しており,バラス状の隆起の上に東西方向に長い板状の溶岩塊が露出して,縦に大きな亀裂が入っていました。バラス状の隆起の大きさは,東西約150メートル,南北約70メートル,高さ約20〜30メートル程度でその上に恐竜の背中状隆起(東西約100メートル,南北約30メートル,高さ約50メートル)が露出しています。また,硫黄の付着も見られました。なお,恐竜の背中状隆起のすぐ東側に位置していた溶岩塔は,崩壊してなくなっていました。
 周囲の火砕流堆積物の状況は,火口北北西(三会川)方向に,比較的新しい火砕流堆積物が0.5キロメートル付近まで達していました。また,火口北東(中尾川)方向にも,火砕流堆積物が約2.5キロメートル付近まで達しており,一部は麻畑を超え中尾川源頭部の急傾斜部にまで入っていましたが,堆積物の幅は狭く,厚みもありませんでした。火口南西(龍の馬場)方向には小さな崩落跡が約500メートル延びていました。赤松谷川上流部の堆積物の量は大きな変化はありませんでした。火口南東(赤松谷)方向へは,比較的新しい堆積物が約2.0キロメートル付近まで達しており,その先端は岩床の沢から約300メートル付近まで達していました。

(2) 温泉観測
 雲仙地獄,小浜温泉の現地観測を実施しました。主な地点の観測結果は第3表のとおりであり,大きな変化はありませんでした。

第3表 温泉地獄観測表            温度の単位は℃

月 日小 地 獄大叫喚地獄清七 地獄お糸 地獄

 
10/ 765919491
11/ 866949488
12/ 865938292
1/1264969392


10/ 792979797
11/ 897979797
12/ 898979196
1/1295979797

 
10/ 794969597
11/ 895969696
12/ 897969698
1/1296959797

 
10/ 72.61.61.92.3
11/ 82.41.41.92.6
12/ 82.52.31.92.2
1/122.01.31.72.1

(3) 井戸の水位
 小浜町山領における井戸の水位観測の結果は第4表のとおりでした。
第4表 井戸の水位 単位:メートル
月 日10/ 711/ 812/ 8 1/12
水面までの深さ7.18.28.89.3

5 遠 望 観 測
(1) 遠望観測
 9月から12月の遠望観測による噴煙高度の状況は第16図のとおりでした。9月は,8月に引き続き溶岩ドーム西側の隆起部の南斜面が連続的に崩落し,これに伴う噴煙が高く上がり,9月12日12時52分(継続時間140秒)の火砕流による噴煙は高さ1500メートルまで上がりました。


第16-1図 噴煙高(定時観測分) 単位はメ−トル

第16-2図 噴煙高(火砕流・崩落による噴煙) 単位はメ−トル
(2) 溶岩ドームの成長の状況
 この期間のセオドライト(経緯儀)を用いた観測による,溶岩ドームの成長の状況は第17図のとおりです。また,溶岩ドームの最高点の標高の変化は第18図のとおりです。
 ・9月
 仁田峠第2展望台(溶岩ド−ム南側)からの稜線観測によると,溶岩ドーム西側隆起部の頂部での隆起が8月に続き9月上旬まで観測されましたが,それ以降停止しました。新大野木場(溶岩ド−ム南東側)からの測量観測によると,8月から続いていた溶岩ド−ム南西斜面の張り出しは,9月中旬にはほぼ停止しました。鳥甲山(溶岩ド−ム北西側)からの稜線観測によると,中旬頃までは溶岩の崩落等により沈降していましたが,月末の観測では全体的に隆起していました。
 ・10月
 仁田峠第2展望台(溶岩ド−ム南側)からの稜線観測によると,溶岩ドーム西側隆起部の頂部付近は若干低くなり大きな変化はありませんでした。また,鳥甲山(溶岩ド−ム北西側),礫石原(溶岩ド−ム北東側),吹越(溶岩ド−ム西側)からの稜線観測によると,10中旬から溶岩ドーム西側隆起部の北側の崖錘が北方向に張り出す傾向が観測されました。
 ・11月
 仁田峠第2展望台(溶岩ド−ム南側)からの稜線観測によると,溶岩ドーム西側隆起部の中央部分に塔状の溶岩が現れ成長しましたが(前述の機上観測項参照),崩落のため17日の観測を最後に観測できなくなりました。また,10月に観測された溶岩ドーム西側隆起部の北側の崖錘が北方向に張り出す傾向は11月に入りほぼ停止しました。
 ・12月
 機上観測により11月から観測されている,溶岩ドーム西側隆起部の中央付近の恐竜の背中状の隆起部分が,地上の観測定点(仁田峠第2展望台,鳥甲山,吹越)より観測できるようになりました。この恐竜の背中状隆起は,ゆっくりと隆起を続け,仁田峠第2展望台(溶岩ド−ム南側)からの稜線観測によると,標高は1499メ−トルとこれまでで最高になりました。
 (なお,1995年1月9日の観測では1500メ−トルとなっています。)
 ド−ムのその他の部分に大きな変化はありませんでした。

第17-1図 溶岩ドームの稜線変化(1994/8/29-1995/1/9:仁田峠第2展望台より)

第17-2図 溶岩ドームの稜線変化(1994/9/14-12/14:鳥甲山より)

第17-3図 溶岩ドーム西側隆起部中央付近に出現した溶岩塔の稜線変化
(1994/10/25-11/17:仁田峠第2展望台より)


第18図 溶岩ドームの標高変化(1993/12/7-1995/1/9:仁田峠第2展望台より)

(4) 地殻変動
 通産省工業技術院地質調査所と気象庁で行っている光波測量によると,普賢岳北側の測線(T4−F10)で9月に若干の距離の縮みが観測されましたが,その後はゆるやかな延びに転じています(第19−1図)。また,南側の測線(T6−F3)には大きな変化は見られません(第19−2図)。その他の観測点についても特に大きな変化は観測されていません。

第19-1図 普賢岳北側の測線T4−F10の距離の変化

第19-2図 普賢岳北側の測線T4−F10の距離の変化

6 降灰観測
 この期間の雲仙岳測候所における降灰量の観測状況は第6表のとおりです。

第6表 日降灰量(前日の9時から当日の9時までの1u当たりの降灰の重さ)
9月10月11月12月
降灰量降灰量降灰量降灰量
10.050.010.0200.0
20.070.080.0
80.090.090.0
130.0130.0210.0
150.0150.0
170.0180.0
210.0240.0
220.0280.0
230.0290.0
310.0
合計0.0合計0.0合計0.0合計0.0

7 火山情報の発表状況
 平成6年9月1日以降に発表した緊急火山情報及び臨時火山情報は次のとおりです。また火山観測情報は,12月31日までに373号を発表しています。
(1) 緊急火山情報
 この期間の緊急火山情報の発表はありません。
(2) 臨時火山情報
 平成6年10月31日18時00分 第18号 火山噴火予知連絡会の統一見解